大阪が愛する岡本太郎!「展覧会 岡本太郎」を大阪中之島美術館で開催

大阪
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アラフォー以上くらいの人に「知ってる芸術家の名前を誰か挙げてください」と言うと「ピカソか岡本太郎くらいかな?」と答える人も多いと思います。

ランドマークである太陽の塔を作ったことで、大阪での人気が特に高く根強く愛される岡本太郎の展覧会が大阪中之島美術館で開催されます。

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展覧会 岡本太郎が大阪中之島美術館で開催

見る人の感情を強く揺さぶってくる色彩の作品を描き「芸術は爆発だ」のフレーズで知られる岡本太郎氏の展覧会が大阪中之島美術館で開催されています。

大阪中之島美術館は水都大阪を代表するリバーサイドにある美術館で大川沿いに2022年に誕生しました。京阪電車中之島駅を下りて徒歩5分ほど歩くと美術館に遭遇。真っ黒な四角いフォルムがオシャレな真新しい美術館です。

「展覧会 岡本太郎」展示風景

受付をすませ入場すると、いきなり現れるのが真っ黒い太陽。太陽の塔の背後部分の太陽に出迎えられて「大阪で岡本太郎展が開かれているんだ」という心持が強くなります。

岡本太郎のパリ時代と初期作品

「展覧会 岡本太郎」展示風景

入り口を少し進むと次に目に入ってくるのがモノクロ作品群。初期の作品でいわゆる岡本太郎っぽい色使いはないのですがリボンなど独特の造形物が描かれ、この頃からすでに岡本太郎としての片鱗が垣間見える作品となっています。

「展覧会 岡本太郎」展示風景

ちなみに今回の展覧会は「展覧会 岡本太郎」という展覧会名で、岡本太郎の歩みが時系列を基本として約300点が展示されていて、有名なお馴染みという作品もあれば初めて見るという作品も多いと思います。

「傷ましき腕」 1936/49 川崎市岡本太郎美術館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

さらに少し進むと初期の代表作品である「傷ましき腕」。こちらはリボンから傷のある腕が付き出し、その拳は力強く握られています。

岡本太郎は若い頃に「日本というカラを脱して世界人になろう」と美術の腕を磨くためにパリに住んでいました。この作品はパリ在住時の異邦人としての気楽さと、その半面でのより所のなさ、芸術への自信と不安という相反する2つの側面を内包した作品となっています。

一般的な岡本太郎作品からはイメージしづらい作品ではありますが、それでも力強さがあり人を引き付ける迫力が存在しています。

「作品A」「作品B」「作品C」 推定 岡本太郎 1931-33 ユベール・ル ガールコレクション(パリ)/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

そして次のコーナーに進むと「推定 岡本太郎」と特殊な名前の書かれた3つの作品があります。

岡本太郎がパリにいた頃に手掛けた初期の作品は帰国時に日本に持ち帰った後で戦火によって焼失し、戦後に自らの手で復元した作品となっています。しかし、こちらの3点はパリに残され戦火を免れた作品で今回の展覧会で初お披露目となりました。

近年になって発見された3作品は現在も鑑定中で岡本太郎作で間違いないとされていますが、確定はしていないので推定とされています。未発見だった作品が見られる貴重な機会となっています。

岡本太郎と戦争と力強さと不協和音

「師団長の肖像」 1942 岡本太郎美術館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

さらに進むと「師団長の肖像」や「眠る兵士」など戦争中のようすを描写した作品があります。岡本太郎作品としては目立たないタイプかも知れませんが、岡本太郎は太平洋戦争に参加していて、後の作品においてもテーマとして戦争の愚かさなどを描いた作品も多く、意味のある作品群となっています。

「森の掟」 1950 川崎市岡本太郎美術館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

そしてさらに進むと「森の掟」という作品。このあたりから一般的な岡本太郎の印象にある作品が続きます。ドギツイ配色とインパクトのある造詣。おそらく言葉を介さず見ても世界中の誰もが衝撃を受け取るであろうという迫力があります。

一般的に絵画といえば抽象画と写実画など分類され、作品はそれぞれどれか1ジャンルに属するというのが基本となりますが岡本太郎はそれを拒否。

芸術の根本条件を「今日の芸術は、うまくあってはならない。 きれいであってはならない。 ここちよくあってはならない」と力説。1枚の絵画の中に写実性と抽象性をあえて調和させず、そのままの形で混在させました。

それによって岡本太郎の作品は、まるで不協和音のように奇妙で圧倒的な存在感がありインパクトがダイレクトに伝わってくるので、これまで美術に興味がなかった人の感性にも刺さる作品群となっています。

「重工業」 1949 川崎市岡本太郎美術館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

岡本太郎の不協和音的な魅力の詰まった代表作といえば「重工業」。真っ赤な歯車に象徴される社会のうねりに巻き込まれる人間が描かれた作品ですが、歯車などの無機物の対象になるように、同じ絵の中に有機物の象徴として立派な青ネギが描かれている、なんとも奇妙で、それでいてインパクトの強い作品となっています。

「駄々っ子」 1951 川崎市岡本太郎美術館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

また岡本太郎といえば力強く挑戦的な作品が多いのですが実際に向き合って感じるのは「圧倒的な可愛らしさ」。獰猛な獣や険しい表情を描きながらも隠しきれないユーモラスからかなんとも言えない表情のモチーフが登場する作品が多く、思わず「カワイイ!」と言ってしまいたくなるような作品も多く存在。

「娘と犬」 1953 株式会社 大林組/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

ダーク一辺倒という感じではなく岡本太郎の人間性の幅の広さや愛おしさのような物が感じられると思います。

「河童像」 1981 川崎市岡本太郎美術館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

そして今回の「展覧会 岡本太郎」では平面の絵画のほかにも立体造形物も多数展示。これらの作品も絵画同様に、何か呪術的な恐ろしさのような物を表現する一方で愛くるしさがより強まります。

「ノン」 1970 川崎市岡本太郎美術館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

岡本太郎は縄文土器に出会って「わびさび」の日本の伝統文化が出来上がる以前の縄文文化にシンパシーを感じ、土着信仰的な呪術的なモチーフを好むようになっていて、その最たる例がこれらの立体構造物に現れています。

「手-赤」「手-青」1981 川崎市岡本太郎美術館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

日常の中に現れる岡本太郎

「展覧会 岡本太郎」展示風景

「展覧会 岡本太郎」では「大衆の中の芸術」という展示コーナーを設置。絵画が個人所有され人目の付かない場所に所蔵されるのを嫌い、アートは大衆の中にあるべきと考え岡本太郎が数多く作成したパブリックアートが展示されています。

「展覧会 岡本太郎」展示風景

さらには日用品のデザインも手掛けており想像より多くの品が展示されています。その日用品は奇抜さがありつつオシャレ。日常と非日常の境界線上にあるような作品が多く、奇抜過ぎて使えないという感じより、生活の中に何か刺激を与えてくれる商品が多くなっています。

「近鉄バファローズ関連資料」1987 岡本太郎記念館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

また今回の「展覧会 岡本太郎」では、会場の地元大阪と岡本太郎とのつながりの深い作品も展示。関西のアラフォー男子である私個人として、岡本太郎と関西という構図で特に強く印象に残っているものと言えばプロ野球の近鉄バファローズのロゴマーク。

「近鉄バファローズ関連資料」1987 岡本太郎記念館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

岡本太郎が近鉄の選手と知り合いということでデザインされたのですがこのロゴはシンプルながらも力強く、ほかの球団とは一線を画すインパクトのあるものになっています。

岡本太郎と2つの太陽

「太陽の塔(1/50)」 1970 川崎市岡本太郎美術館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

そして岡本太郎と大阪といえば切っても切れない関係なのが1970年の大阪万博の時の太陽の塔。「人類の進歩と調和」というのがテーマであった大阪万博。合理的で近代的な風貌の基幹施設の大屋根を呪術的なモチーフたっぷりにぶち抜く「ベラボーな神様」という形として太陽の塔は建造されました。

大屋根を突き破り広げた手と奇妙な顔を持つ太陽の塔は、大阪万博も大屋根もとっくになくなった現在においても、大阪のマスコットとしても関西人から強く愛される存在となっています。

「生命の樹 全景模型」 2017 岡本太郎美術館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

太陽の塔は実は中に入れて内部には生物進化のプロセスを表現した生命の樹があるのですが、その内部構造もレプリカ展示されています。

「太陽の塔構想スケッチ」1967-68 岡本太郎記念館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

また今回の岡本太郎展では太陽の塔の原案ラフも公開。完成品に至るまでの過程の段階が見られるので貴重な資料となっています。

「明日の神話」 1968 川崎市岡本太郎美術館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

そして岡本太郎の太陽がモチーフとして、もう一つ有名なのが渋谷駅に飾られていて30mの大きさを誇る「明日の神話」という作品。太陽の塔と同時並行して作られたこの作品は、もとはメキシコのホテルからの依頼で作成した作品。しかしホテルは開業前に倒産し作品も紛失。2003年に発見され日本に戻り渋谷駅のシンボルとなりました。

明日の神話は人工の太陽である原水爆を描いた作品で中央のドクロとキノコ雲、ビキニ島で被爆した第五福竜丸なども描かれています。岡本太郎自身が強烈に影響を受けたと語るピカソのゲルニカとも似たテイストがあり核の炎やキノコ雲など見る者を震撼させる迫力がある一方で同時に鼓舞させる力強い作品で、今回の展示では1/3スケールの下絵とラフが展示されています。

老いても衰えを知らない岡本太郎

「展覧会 岡本太郎」展示風景

太陽の塔と明日の神話の展示コーナーを抜けると、その先は「黒い眼の深淵 つき抜けた孤独」というコーナーで岡本太郎の晩年の作品が展示されたコーナー。

太陽の塔作成以降、強烈なキャラクターとしての認知度が高まりTVなどへも多数出演していた岡本太郎ですが、その間も創作活動は維持。力強くて大きな黒い眼を持つ岡本太郎らしさ全開の作品が多数展示されています。

「娘と犬」 1953(その後加筆) 岡本太郎美術館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

またこちらのコーナーの後半には岡本太郎自らが自分の絵に上描きをした作品を展示。過去の自分が描いた作品のキャンバスの上に、同じ題材の絵を重ねて描いた作品が多数展示されています。

「動物」 1954(その後加筆) 岡本太郎美術館/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

こちらの作品には手直し前の状態の写真も展示されているので、ぜひ見比べてみましょう。「年をとった自分でも老いることなく、昔の自分が描いたのより大胆に力強く描けるんだ」というような岡本太郎の意気込みが聞こえてきそうな作品群となっています。

岡本太郎とタローマンと直感

©岡本太郎記念現代芸術振興財団

また岡本太郎という人物や作品を理解する上で楽しいコンテンツがあります。それがNHK製作の短編特撮『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』というテレビ番組。

TAROMAN
岡本太郎が世に送った唯一無二の〈作品〉群、そして心を鼓舞する〈ことば〉たち。 両者ががっぷりと組み合い、超感覚的に岡本太郎の世界へと誘います。 10話それぞれのタイトルは「芸術は、爆発だ!」「真剣に、命がけで遊べ」など太郎のことば。それをテ...

巨大ヒーローのタローマンと岡本太郎作品に出てくる獣などが敵キャラとして登場。タローマンは岡本太郎の思想を行動原理として活躍するという内容で、今回紹介した解釈がより直感的にストーリーの中で紹介されています。

YouTube
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番組はYouTubeで見ることが可能なので「展覧会 岡本太郎」に行こうとしている人も、すでに行った人も一度見てみると岡本太郎の人となりや作品の楽しみ方の理解度が深まるはずです。

タローマンでも散々言われていますが自由過ぎる振る舞いやデタラメ、理屈よりも本能を愛した岡本太郎。たとえば重工業のように歯車とネギが混在する絵を見て「何故ここにネギがあるのだろう?」とあれこれ考えるより、岡本太郎の型のない自由な発想の楽しさを感じるようにすれば、より作品を楽しめると思います。

©岡本太郎記念現代芸術振興財団

ちなみに会場にはタローマン特別ブースもあって、記念撮影やじっくりとタローマンの観察もできるので要チェックです。

さらに「展覧会 岡本太郎」では会場内の作品が撮影可能。作品が人の目に触れることを望んだ岡本太郎の意思を尊重し作品をバンバンSNSに投稿しましょう。

また展覧会の定番のお楽しみとなっているのがミュージアムショップのグッズ販売ですが「展覧会 岡本太郎」では、岡本太郎作品に登場するキャラがさまざまなグッズになって販売されています。

「折り畳み傘(雷人)」6600円/©岡本太郎記念現代芸術振興財団

その中でも注目なのが、この折りたたみ傘。傘の内側に岡本太郎作品の雷人がデカデカとプリントされ、憂鬱な雨の日でもテンションが凄いことになりそうなアイテムとなっています。

このように「展覧会 岡本太郎」では岡本太郎ワールドをたっぷりと堪能できるので岡本太郎をよく知る人でも、初心者でも十二分に楽しめる展覧会となっています。さらにいえばこの展覧会は知識というより直感で感じる部分も多いので美術館デビューの人にもピッタリの展覧会となっています。

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【展覧会 岡本太郎へのアクセス】

京阪電車中之島線中之島駅をおりて東へ5分ほど歩いた場所にあります。

【展覧会 岡本太郎 情報】

住所大阪府大阪市北区中之島4-3-1大阪中之島美術館4階展示室
TEL06-4301-7285(大阪市総合コールセンター)
会期2022年7月23日(土) ~ 10月2日(日)
※月曜日休館(9/19を除く)
※日時指定制(30分ごと)
料金一般1800円、高大生1400円、小中生無料 ※日時指定券(30分ごと)の事前購入を推奨。会場でも当日(日時指定)券を購入できますが、混雑状況により入場に時間がかかる場合や、当日券の販売が終了している場合があります。
アクセス京阪中之島線中之島駅から徒歩約5分
公式サイトhttps://taro2022.jp/

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