節分にだけ京都に現れる懸想文売(けそうぶみうり)!須賀神社でラブレターを売る覆面姿の男の謎

京都
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2月3日の節分、全国的には「鬼は外、福は内」と豆をまくのがお馴染みの行事ですが、京都では神社に鬼が現れて踊ったりと、珍しい風習がいろいろと残っています。

そんな京都の節分でひと際珍しいのが、今回紹介する須賀神社に現れる懸想文売(けそうぶみうり)。覆面姿の彼が何者で何をしているか、その理由はかなり意外過ぎるものでした。

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珍しい行事の多い京都の節分

※写真は2017年撮影

今回、紹介する懸想文売は京都の須賀神社に現れますが、京都の節分は一風変わった行事も多く存在します。そのなかでも比較的イメージしやすいのは鬼に関する行事。

京都御所のすぐ東隣にある蘆山寺では、貪欲、憎悪、愚痴を体現する赤緑黒の3色の鬼がお寺の敷地に登場します。鬼は修行の邪魔をしようと僧侶を囲んで踊りをおどるものの退治。

改心した鬼が町の人々の病気を治したり長寿と健康を願うというストーリー仕立てになっている鬼法楽という行事などがあります。ユニークな鬼の登場する行事ということで、TVや雑誌でとりあげられているので、知名度はかなり高い行事となっています。

廬山寺の節分祭についてはこちらの記事をご覧ください

鬼が邪気を払い、鬼がおどる?京都・廬山寺の節分祭!
https://www.smartmagazine.jp/kansai/article/sight/8314/

須賀大社と節分と懸想文売と

先ほどの蘆山寺以外にも吉田神社などにも鬼が現れ、鬼の出番の多い京都の神社仏閣ですが、今回紹介する須賀神社の節分にはまったく異質な存在の人物が合わられます。

それがこちらの懸想文売。ケソウブミウリという現代人にはまったく耳馴染みのないワード。どういう人物なのかと端的に表現すると、ケソウブミを売る人なのでケソウブミ売となります。しかし、そもそもケソウブミという単語も初めて見かける人が多いと思います。

ケソウブミは漢字で書くと懸想文となって、懸想と文に分かれます。懸想というのは、想いをかける、想いをよせるという意味の言葉。つまり懸想文というのは現代の感覚で平たく言えばラブレター。つまり懸想文売というのはラブレター売りということになります。

そして、ここで再び「?」と思うはずです。「なぜラブレターを売っている人がいるのか?」と。

懸想文売の正体は貧乏貴族だった?!

須賀神社に登場する懸想文売がラブレターを売っている人だということは紹介しました。しかし、疑問が一つ解消されたことで、新たな疑問が逆にいくつも湧き上がってきました。

彼はなぜ覆面姿なのか?
彼はなぜラブレターを売っているのか?
懸想文売とは結局一体何者なのか?

結論から言ってしまうと懸想文売の正体は貧乏貴族でアルバイトとしてラブレターを売っていました。
その背景にはちょっと歴史の勉強が必要になります。この懸想文売というアルバイトは平安時代には存在したものの大きく浸透したのは江戸時代。

江戸時代は武家の棟梁である徳川家が国を治める時代。対立勢力となる公家や朝廷の力を弱めるために1615(元和1)年に徳川家康によって、禁中並公家諸法度(きんちゅうならびにくげしょはっと)が制定されました。この公家諸法度によって貴族は力を弱められ、次第に生活が困窮するまでになってきました。

禁中並公家諸法度 -Wikipedia-
https://ja.wikipedia.org/wiki/禁中並公家諸法度

そんな状況のなかで考え出されたのが懸想文売というアルバイト。貴族はどんなに生活に困っていても教育を受けているので文字の読み書きなどは教養として身に付いていました。

一方で江戸時代の庶民はというとまだまだ識字率は低い状態。そこで文字の読み書きができない庶民のために、貴族がラブレターを代筆して売るというお金稼ぎ方法を考案したのが懸想文売です。

しかし貴族が庶民のために働いているというのは不名誉なことなので正体を隠すために、顔を白い布で覆い正体を隠してラブレターを売るようになりました。

これが須賀神社に現れる懸想文売の正体と歴史的背景です。とはいっても水干と呼ばれる貴族の衣装に身を包んで梅の枝にラブレターを刺して売り歩くという、隠しきれない風雅さは、少しシュールでとてもユーモラスな風景となっています。

貴族から買うので懸想文があると貴族のようになれる

無事に購入できた懸想文。気になる中身はこんな感じ。干支にちなんだ文章が書かれています。

※写真は2017年撮影

ちなみに貴族から買う懸想文は、貴族のようになれるというイメージからか、美人になれる、着物が増える、字が上手くなるなどの効果があるとも言われ、お守りのように扱われていました。

しかし、貴族と言われて真っ先に思い付く「お金持ちになれる」というのがないのは庶民が高望みをしていないのか、江戸時代の貴族には金持ちのイメージがないのか、なんとも面白い風習となっています。

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【須賀神社へのアクセス】

京阪電車神宮丸太町駅をおりて東へ10分ほど歩いた場所にあります。

【須賀神社 施設情報】

住所京都府京都市左京区聖護院円頓美町1
TEL075-771-1178
拝観時間9:00~17:00
アクセス京阪電車神宮丸太町駅おりて徒歩10分
公式サイトなし

ま・と・め!

節分の時だけ京都の須賀神社に現れる懸想文売(けそうぶみうり)
覆面姿の懸想文売が売っているのはラブレター
懸想文をタンスにしまっておくと美人になるなどのご利益があるといわれている

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